2009年05月25日

レベルの差=意識・思いの差

日本に帰国して、「育成年代での海外との違いは?」と聞かれた事も多く、このテーマで取材を受けた事もありました。フィジカル、ゲームインテリジェンスや、球際の力強さなど様々な点があげられると思います。(ただ、海外といってもイギリスの事情はある程度理解しているものの、オランダは短期間でしたし、しかもほとんどトップチームを見ていたので、様々な国を比較できているわけではありません)

しかし、ここ最近育成年代で明らかに感じる大きな“違い”が一つあります。

それは“厳しさ”、“ハングリーさ”、そして、“ワンセッションに懸ける思い”。

別に指導者に厳しさが足りないと言っているわけではなく(まだ「馬鹿」など、選手に向かって厳しい言い方(?)をされている方もいらっしゃいますし、中には、どうしても個の育成よりも、勝利主義に走り、自分のチームを盛り上げるための手段として、相手チームを罵る事や、審判を悪く言う事で、自チームを発奮させる方もいらっしゃいました。ある指導者の方も言われていましたが、我々も相手の選手を含め、全体で選手を育てる意識を持ちたいですね)、選手自身に厳しさが足りない様に感じます。

本当に意識が“甘い”。

「ちょっと頑張ればプロになれる」、また「Jの下部組織に入ればプロになれる」といった安易な考えや、甘い考えを持った選手達が多いように見受けられます(特に地方の場合、関東、関西の様に切磋琢磨出来る環境が整っていないという状況もあると思うのですが)。そのため、本人たちは一生懸命ボールを追いかけているのかもしれませんが、集中力の欠如や、熱心さが伝わって来ない状況も多く、明らかにプロを目指すという夢を持っているのであれば意識が低すぎる傾向があると感じています。私自身、プロになった友人もいますし、トップチームに関わっていた事もあるので、中途半端にプロを志したがゆえに挫折してしまった多くの選手たちを目のあたりにし、プロの世界の厳しさを痛感しています。プロとして契約できる選手も一握りですし、またその中で成功をおさめる事の出来る選手もごくわずかです。現在、サッカーの選手登録数が約90万人で、J1、J2を合わせた登録人数が約1000人。約半数の選手がプロを希望していたとしても、かなりの倍率になります(ある意味、東大に合格するよりはるかに難しい!)

それがゆえに、今持っている彼らの夢を現実のものに変えたいのであれば、一つ一つのトレーニング、試合、またはサッカー以外の部分である、学習面、食事、身体のケア等をもっと大事にして欲しいなと感じています。メリハリのある行動を取り、目標に一生懸命取り組んでいけば、例え希望通りに物事が進まなくても、その後に通じていく道は開けるのではないかなとも思います。

海外にいる際に、あるチームの育成ダイレクターの方からお電話を頂いたことがあります。特に中2年代での“中だるみ”が激しいとの事で、海外ではどうなのか尋ねられました。ただ、モチベーションは自分であげるものあり、決して指導者や、両親、または周りの選手にあげてもらうものではありません。イングランドの場合、下部組織の選手達でも大多数が1年契約となり、毎年シーズン終了時には実力次第で容赦なく選手が入れ替わります。子供の頃から、そういった厳しく、緊張感のある中で常日頃から取り組んでいるので、日々のトレーニングをとても大事にします。特に、私の住んでいたリバプールは地域性もあり、非常に負けず嫌いで、練習の中で罰ゲームでも課そうものなら“削りあい”になってしまいます。選手個々が、1日1日が勝負だと言う事、一度、今いるカテゴリーから下に行けば這い上がっていくのが難しい事をよく自覚しているのです。もちろんそのような環境作りが、日本に適しているとは言いませんが、サッカー協会が示すように“世界のトップ10”を目指すのであれば、多少システムの見直しも必要なのかもしれません。

また、ManUなどの下部組織でやっている選手は、トップチームへの昇格を目指すのであれば、イコール世界でもトップクラスの選手を目指さなければならず、自然とハードルが高くなります。しかも、お手本が間近にあり、具体的な夢を描き、かつ明確な目標設定ができているはずです。その様な選手達と、漠然とプロになりたいと夢を持つ選手とでは、日々の取り組む姿勢も必然的に変わってきます。つまり、最終的にはサッカーへの思いの差、または意識、考えの差が、レベルの差となって表れるのだと思います。

ちょっと話はそれますが、一度、エバートンの身体障害者チームへ視察に行ったことがあります。中には目の不自由な子、片足がない子など様々な障害を持った子供達が一つのサッカーボールを真剣に追いかけていました。見ていて、怪我をしないかこちらが怖くなるくらい気迫のこもったプレーに感銘を受けた情景を今でも鮮明に覚えています。

本当に選手達には、悔いが残らぬよう、またサッカーをプレーできる喜びを噛みしめながら、全力でプレーして欲しいなと思います。


ただ、サッカー以外の面でも、子供達には様々なストレスがかかっているのも事実だと思います。定期的に適度な休日を入れ、家族や、友人と過ごす時間を作り、プレーする際は集中して全力で取り組める、メリハリのある環境を指導者が作り出していかなければならないのでしょうね。
posted by ryo at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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